新時代を迎えて
新元号「令和」となり、わたしたちは新たなる時代の門出に立っています。
「来たるべき世を、より良き世界へ」との願いは、誰しもの胸に芽生えるものでしょう。
世界においては「SDGs(持続可能な開発目標)」に象徴される新しき社会構想が掲げられ、あらゆる分野を超えて未来を築かんとする試みが進められています。
しかし、果たして人間の心は、その新しき時代に耐えうるほどの力を備えているでしょうか。
古来より絶えず問われてきたにもかかわらず、世の華やぎに覆われ、しばし忘れ去られた領域があります。
社会制度の整備ばかりに傾き、やがて行き詰まりを見た時に、なお浮かび上がってくる聖なる秘境があります。
それこそが、「自心の深層」であります。
内にして無限、深淵にして広大、己が身ながら大宇宙に通ずる不可思議の聖域。
そこには限りなき宝蔵が密かに息づき、いまだ扉を開かんことを待ち続けています。
その扉の鍵は、すでに汝の掌中に託されているのです。
問われるべきは、外界の繁栄ではなく、わたしたち一人ひとりの心の成熟であります。
真に持続可能なる社会とは、人の心がその根幹において確かに支え得てこそ築かれるものです。
新しき時代の構築をめざすにあたり、わたしたちは忘れてはなりません。
自心を省み、その深みに沈潜する修行なくして、未来に真の基盤は成り立たぬということを。
いついかなる時も、自らの心の声に耳を澄まそう。
心が外界に追いつき、さらに先導するまで。