祈願を胸に歩むということ
ときおり、「このままで本当に良いのだろうか」と、ふと立ち止まりたくなる瞬間があります。思うように進まない日々や、先の見えない現実に直面すると、不安や迷いが心を曇らせてしまいます。そんなとき、人の心はつい足元ばかりを見つめがちになるものです。
けれど、そういうときこそ「祈願」の心を持つことが大切です。
いま与えられている場所や状況は、決して行き止まりではありません。むしろ、それはやがて訪れる変化や成長への途中であり、必要な通過点なのです。だからこそ、「この一日を大切に生きよう」「祈りの心を忘れずにいよう」と思い起こすことが大切です。
たとえ目に見える変化がなくても、静かなところで確かに物事は動いています。人の心もまた、祈願を重ねる中で少しずつ次の一歩を生み出す準備を整えていきます。大切なのは、その過程を軽んじず、いまという瞬間を誠実に生きること。そして、必ず祈りが届くと信じて、願いに向かって歩みを続けることです。
祈願とは、単なる願掛けではありません。
それは、自分がどうありたいか、どこに向かいたいのかを仏の前で静かに見つめ直し、その願いを言葉にして託す行為です。そしてその祈りは、時に目に見えぬ形で、私たちの内側を少しずつ照らし、やがて現実の道を開いてくれます。
祈りを重ねる日々そのものが、すでに願いへと近づく道なのです。